[戻る]


今日は来てくれてありがとう。君が来るの、待ってたんだ。

僕は六本木史。
大江戸線の駅ナンバリングがE-23で「ふみ」なんだ。歴史が好きで史の字は歴史の史なんだよ。

僕は駅全体が、音楽や音が大きなモチーフになっているんだ。パブリックアートも「プライマルビート」っていう音楽や楽器をイメージしたものだし、6番出口は管楽器のパイプをイメージさせたデザインになってる。


地下鉄の空気が共鳴して、振動する。まるで管楽器のような「装置」。
エスカレーターや階段は「管」、コンコースは「共鳴器」。

僕は音楽が大好きだけど、それ以前に僕自身が楽器なんだ。そして演奏するのは僕だけじゃ無い。みんながぼくを奏でるんだ。

情報は音になり、音は駅を通じて、街へ他の駅へと流れて行く。
なんだか素敵じゃない?

君にも僕を奏でて…もらいたいな。きっと僕の気持ちが共鳴して、素敵な音楽になると思う。



あ…この黒い柱…気になる?…数、多いんだ。僕は地下、深いから…。支えないといけなくて。

どれくらいっていわれると…実は、日本の地下鉄では一番深いんだ。一番深いところは地上から42.3m。42.3mと言われてもピンとこないかもしれないね。マンション14階分くらいかな。ここから4b出口までは階段298段。僕は毎日登ってるけどね(笑)

ああ、無理しないで。大丈夫。今日はエスカレーターを使おう。

大江戸線の駅は島式ホームといって、プラットホ−ムが一つあって両端に内回り、外回りの電車が止まるパターンが多いんだけど、六本木は上下式ホームといって、地下4Fで外回りに行くか、内回りに行くかを決めるんだ。ちなみに42.3mは内回り。外回りは32.8mと新宿さんよりちょっと浅いくらい。

でもほら、出口をでたら、もうミッドタウンだよ。今日は君が来てくれたから、一緒にケーキとかどうかな?

…よかった。じゃあ、連れて行きたいお店があるんだ。僕、かなりの甘党でさ。あ、ほら、トシ・ヨロイヅカ。凄く有名なお店なんだ。

なににする?

え?僕?僕は…シュークリーム。

…な、なんだか恥ずかしいな、子供みたい?でもここは頼んでから、シューにクリームをつめてくれるから特別なんだよ。君は?ザーネトルテ?じゃあ、食べようか。



僕の街はね…、少し前までは軍隊の街だったんだ。このミッドタウンも防衛庁跡だしね。かつて2.26事件がおきた歩兵第一連隊本部があったのも…。

あ、僕は、自分の街がどういう歴史をもっているかとか、そういうのが、気になっちゃうんだ。

事件が起こった事実は悲しいことだけど、段々この街は変わって来ているとおもう。いい風に。アートやインテリジェンス、そういった新しい風が吹き込んでる。

君を含めたみんなの、街に対する愛情だと僕は思っているんだ…

っっっと。クリームが!あはっ、口についてるよ。なんだか、君、子供みたいだね。


食べさせてあげる。口あけて、恥ずかしがらないで。ほら、あーん。

僕にも一口、くれる?ほら、ちょうだい。

美味しい。ふふ、これで間接キスだね。

そんな照れた顔もかわいいよ。

…かわいい。

今日はもう少し僕と一緒にいてくれる?六本木はまだまだ、たくさん案内するところがあるんだ。

僕の事、もっと知ってほしいんだ。

ありがとう。君が僕に興味をもってくれることが、…本当にうれしいんだ…。

この先、人が多いから。はぐれないように、手をつなごう?

じゃあ、いこうか。

 

★デートの続きはこちらへ