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俺は西新宿五丁目吹(ふく)。名前の由来?駅ナンバリングがE-29だから、ふく。副名称が切符に印刷されるのが、大江戸線では俺だけだからって言うのもあ
るんだけどね。

副名称?駅についている、もう一つの名前。俺は、清水橋っていうんだ。
でも、汐留のヤツはシオサイトだけど、あれは印刷されない。

切符買ってみろよ。
ほら、「かっこしみずばし」って印刷されてるだろう?

印刷されるのは俺だけで、この切符だけを記念に買ってく人もいるくらいなんだ。

駅を出ると、すぐに清水橋交差点、っていう交差点がある。
交番もほら、清水橋交番。

ん?どうした、不思議な顔して?

ああ、肝心の橋がないってことか?ははっ。そうだな。

清水橋はもともと神田川の支流にかかっていた橋だったんだけど、昭和39年の東
京オリンピックの時に、外観を気にして、ずいぶん川が埋められて…。
その時、ここの辺りも埋められちゃったんだ。

この遊歩道、見るとほら、川の跡みたいになってるのがわかる?これがその名残り。そして、橋の名前だけ残ったんだ。

この辺り、少し歩かない?

ほら、手だして。

あ…可愛い手してるんだね。ふふ。手をつなぐの、嬉しいな。

よーし、じゃあ、行こうか。

意外と良い風が吹くでしょ。
街路樹だけじゃなくたくさんの木があって、ちょっとした杜なんだよ。
さっき俺のところにあったパブリックアート。
「街と杜の風景」っていうんだけど、

やさしい朝の光の中、さわやかな風に乗って、小鳥は舞い、杜の木々は歌う。

新しい朝の歌が街に広がり、人々の新しい言葉となる。
キラキラと輝く光を受け、人は歩き、文化がうまれる。

なんて言葉が書いてある。そして、ここを抜けると新宿中央公園に出るんだ。
ビルの谷間にある、ちょっとしたオアシス。

凛ちゃんや一(はじめ)、零二とはまた全然違う、こんな新宿の顔があるんだ。

今日はもう少し俺につきあわない?


きっと、新しい発見があるはずだから…。