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俺は麻布十番 双葉。
駅ナンバリングがE-22だから双葉っていうんだ。

地名の由来はいくつかあるんだけどさ、
近くを流れる古川の改修工事をする時に、
このあたりが10番目の区域だったから、とか、
将軍綱吉が別荘を建てた時も、
この地域が10組目の担当だったから、なんて言われてる。
ま、とにかく……10番がラッキーナンバーってことだよね、きっと!

駅のメインカラーは赤と黄色。
けっこー派手に見えるかも知れないけど、暖かみのある色でしょ。
俺のこのお気に入りのスニーカーも、赤と黄色の組み合わせなんだ。
へへっ。似合ってるかな?

俺の駅はさ、清澄白河さんとこと同じように
災害用の備蓄倉庫があるんだ。
災害が起こって、道路が使えない時には、
地下鉄を使って物資を届けられるようにしてる。
専用の自家発電とか、空調設備もあるんだよ。
何かあった時には、俺たちがいち早く駆けつけるから、安心してね。
……まあ、そんな状況にならないことが一番なんだけどね。

さ、地上に出てきたよ。
まずは、十番稲荷神社から案内しよっか。
向こうの鳥居の横にさ、2匹のかえるの石像が並んでるでしょ?
江戸時代に起こった火災で、
このあたりがほとんど焼けてしまったんだけど、
元麻布にある「がま池」ってとこから、
かえるがバーンと現れて火を鎮めたって言われてるんだ。
火傷とか、火災除けのお守りで有名なんだけど、
無事に「かえる」ようにって、旅行の安全祈願や、
無くしたものが「かえる」なんてご利益もあるんだって。

それと、この神社はね、港七福神のひとつでもあるんだ。
港区は、ここにある「宝船」を入れて、
全部で8か所の神社を回るのが特徴なんだよ。
七人の神様をいっぺんに乗せてるから、
なんだかとっても縁起がいいよね?

ねえ、何をお願いしよっか?
今日一日、君が楽しく過ごせるようにお願いしよーかな。

よーし、お参りが終わったら、次は商店街を案内するね。
麻布十番は、江戸時代から300年以上の歴史がある
都内でも有名な商店街があるんだ。

なんといっても美味しいものがいっぱいあるんだけど、
そこにある「浪花家総本店」は知ってる?
「およげ!たいやきくん」のモデルにもなったお店。
ここのたいやきは、皮がパリッとしてて、
あんこもたっぷりだから、とっても美味しいんだよ。

ほら、出来立てのあつあつをどうぞ。
食べながら歩くのも楽しいよね?

……え?一口くれるの?
ありがとう。
(もぐもぐ、ごくん)
ん、やっぱここのたいやきはおいしー!
……ね、もう一口欲しいなあー、ダメ?ふふっ。

商店街はほかにもね、
おでんや焼き鳥屋もあるし、
たぬきの形をした可愛い煎餅や、今川焼もおすすめだよ。
行きたいところがあったら、遠慮なく言ってね。

他には、んーーと、
この通り坂道が多いのも有名なんだ。
港区は名前がついてるものだけで100以上の坂があるからね。
向こうにある鳥居坂には、昔は大名屋敷があったらしいんだけど、
とにかく長くて急な坂道なんだ。
あとは「麻布の一本松」に続く「一本松坂」なんて、
どの方向に行っても別の坂に囲まれてるんだ。
考えただけでゲゲってなるよね?

おかげでさ、俺、足腰にはけっこー自信があるんだよね。
六本木のとこも多いから、あいつも良く坂道をジョギングしてるよ。
会ったらソッコーで、ダッシュ勝負してるけどね!

あとはさ、このあたりはいろんな国の大使館があるから、
外国語もよく聞こえてくるんだ。
たくさんの国のレストランもあるから、
この街にいると、世界中を旅してるような気分が味わえるかも。
君は、どんな国が好き?
今度、君と一緒に出かけてみたいね!

……さてっと、今日は俺のお気に入りの場所に案内しようかな。
疲れたら教えてね。
このあたりはカフェもたくさんあるから、休みながら回ろうよ。

……あ、ねえ、君と手をつないでもいい?

ふふっ。
こうしてるとさ、恋人同士って感じだね。
この街にいる間は、俺のカノジョってことで!

さ、一緒に行こっ!

 

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